日本一のマンボ「片樋マンボ」前編 [水利施設]
4年の荒川です。
遅くなりましたが,8月26日に三重県いなべ市大安町にある片樋マンボへ見学に行ってきました!
片樋マンボへ行く前に,大安図書館へ寄って資料集めです。
大安図書館は三岐鉄道の大安駅と一緒になった,めずらしい図書館でした。
レンガ造りのレトロな建物です。
奥へ進むと図書館,左へ行くと改札です。
ちょうど,電車がきました!
さて,本題に戻りまして…,
マンボとは,簡単に言うと素掘りの横井戸のことです。
地下5~10mのところにトンネル(地下水路)を掘って,地下水を集めます。
長さは,数10mから1000mを越えるものなどさまざまで,
途中,約30~50mごとに日穴,空気穴とも呼ばれる竪穴を掘り,空気の換気や土砂の排出をし,
完成後は水路の掃除を,竪穴から入って行いました。
イランにあるカナートととても似ています。
カナートはマンボとは比較できないほど大きいので(横穴が数百kmだったり!),
マンボはベビーカナートですね。
水田開発による水不足を解消するため,江戸時代後期~昭和初期にかけて,
特に明治時代に最もさかんに造られました。
マンボは地域によってその名前や形が異なるので,決まった定義はありません。
(読み方→マンボ,マブ,マンボウなどなど 漢字→間夫,間部などなど)
分布は主に本州中央辺りの,東海・近畿・北陸などに少しあるようです。
(資料によってバラバラなので,断言できませんが…。)
日本で一番マンボが多く分布しているのは,三重県の鈴鹿山脈東麓の,いなべ市周辺とされています。
マンボには主に2種類あり,
①水源(河川,溜池など)がはっきりいしているもの→水を運ぶ役割が強い
②水源がはっきりしていないもの→河川からの伏流水や水田からの浸透水を集める
前回紹介した,上石津のマンボは①です。
片樋マンボは②のマンボで,水源が明確でないため,
どれくらいの水量が得られるのか,水が出てくるのかさえわかりません。
そんな中,マンボを掘った先人たちの努力はすごいとしか言えません。
それでは,片樋マンボを上流部から,出口に向かって紹介していきます。
製材工場の裏にある雑木林のようなところへ入ると,
なんと,この木々の裏側に最初の竪穴があるのです↓
片樋マンボを管理している自治会の方と実際に竪穴へ下りて,中を説明していただきました。
約5mくらいの深さでしょうか。
竪穴を下りると,素掘りの横穴が!!感動☆☆
素掘りの竪穴が約10~30mごとに数個ありました。
いくつか見ると,竪穴のありそうな場所が予想できるのですが,
全く知らないと,落ちる危険性が…。
竪穴の形もさまざまで,最初は素掘りのままですが,
コンクリートに改修されていたり,
プール状に水が溜まっていたり。すぐ横を主要道路が通っています。
だんたんと出口へ近づくにつれ,水量も増えてきました。
水温は19℃でした。
最初の竪穴から,プール状になった竪穴まで,300m前後じゃないかと思います。
これからマンボは住宅街の下を通り,水田へと続きます。
この片樋マンボが日本一と言われる理由は,後編のお楽しみということで。
片樋マンボの記事、大変興味深くよみました。いちど行ってみたいと思っております。後編に地図の写真がありますが、ブログでは字が読めません。画質のよいものをいただけますでしょうか。
私はカナートに興味をもっておりまして、昨年は北アフリカのアルジェリアでカナートを見学する機会をえました。その時に書きましたペーパーがありますので、メールアドレスを教えていただければ送付いたします。
by 山田耕治 (2010-10-29 13:24)
山田さま
卒業生の榎本です。
荒川と共にマンボの調査を行っていました。
写真等データが手元にありますので、
ご要望のものがあれば以下の連絡先まで
ご連絡ください。
カナートに関する記事にも興味がありますので、
お分けいただるようでしたらお願いします。
info@sento-tarui.org
(@を小文字に変換してください)
by 榎本淳 (2011-07-22 11:21)