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接近警報システム!? [獣害]

1月28日から30日にかけて,山梨県に調査に行ってきました。
調査対象地は富士急ハイランドのある富士吉田市です。
毎回,高低差が大きいジェットコースターや話題の「ええじゃないか」を横目に
サル被害地を踏査踏査,です。

今回の目的は対ニホンザル接近警報システムの詳細を聞き,その状況を見るためです。
接近警報システムとは,ニホンザルの群れ(のオトナメス)に装着した電波発信機
からある一定距離で電波を受信すると,音が鳴るシステムです。
要は,ニホンザルが集落に近づくと音が鳴る,そうすることで,
ニホンザルを追い払うのが楽になるというシステムです。
先行して取り入れている県(群馬県や神奈川県など)もあり,
中にはサルとヒトの関係をよくするためだ,として「猿人善快(えんじんぜんかい)」
と名付けられたものもあります。

さて,見てきた結果ですが…

写真:接近警報システム(アンテナとサイレン付き)

きちんと稼働していました。

さて効果は…

写真:集落内の遊休農地に出没していたサル

…課題は山積です。
ハードはある程度揃ったので,次はソフト事業です。
想定している内容で修士論文は間に合わないかもしれない!
と,少し焦ってしまう結果になりました。

二月にまた行ってきます。


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梅さんと下北サル調査 [獣害]

修士一年生の中村です。
12月20日~1月1日と調査兼梅さんとの再会旅行に出ていました。
12月20日発で,岐阜→名古屋→仙台。
仙台に着いたのは21日朝。まずは,日本三景のひとつ,松島に行ってきました。
松島は海産物のカキがおいしかったです。ノロウィルス問題もあり,生では食べれませんでした。
焼いて食べてもとても美味でした。
景色もきれいでした。ただ,時期が時期なので海岸沿いの松島はとても寒かったです。
その後,伊達政宗の資料館をふらついているとちょうど良い時間になったので
昨年農村研究室卒業の梅さんとの再会のため泉中央へ。
TSUTAYAで梅さんと合流し,牛タンをおごっていただきました。
夜は梅さんのアパートで梅さんと飲み会でした。
久々にまとまってお話ができてよかったです。


仙台で修行中の梅さん

22日は仙台から青森に向かって出発。
青森では,ホタテとじゃっぱ汁(魚がふんだんに投入された汁)に舌鼓をうち,
安物ホテルで一泊。23日に電車で下北半島にある下北駅で佐井村役場の方と一緒に調査をする
仲間と合流。

下北半島は,ヒトを除く霊長類生息地の北限です。だから,この地域のサルは
天然記念物にも指定されています。
佐井村の調査は15年くらい前から役場主体で行われており,
参加費無料,ご飯代,宿泊費も無料と,外部から調査に参加するには好条件が整っています。
岐阜からは遠いですが…。
調査の日程は12月23日~30日まで。
冬に調査をやるのは,冬はニホンザルによる被害が発生しないことと,
雪が積もっているときのほうが痕跡が残りやすく,追跡を行うことが楽だからです。
ちなみに,調査地区ではニホンザルの群れは7つくらい存在します。

調査の短期的な目的はニホンザルの群れの性年齢構成を把握した上でのフルカウント。
群れが森林の中にいるうちはかなり困難なので,林道や国道を渡るときがチャンスです。
とは言っても,群れが発見できない場合や,発見できても都合良くいかないパターンが
多く,根気と経験が必要な調査です。
サルが見つからないと,痕跡を探して地図とコンパスを頼りに延々と山を歩き続ける。
サルが見つかると,個体数と性年齢構成を把握する。

野生動物を見るのは運が大事ですが(見つけれるかどうかは経験も必要です)
今回はとても運良く一日目からニホンザルをじっくり見ることができました。
最初に見た群れは人慣れをしていて,こっちの存在に気づきながらも
平然としていました。


調査者から1.5mくらいで寄り添うサル

ただ,冬の下北半島はとても寒く,じっと突っ立ったままサルを観察しつづけるのは
つらいものがありました。ぶるんぶるん震えながら,「オトナメス一匹,ワカモノオス一匹…」
と数えていました。

二日目は違う群れの担当でした。サルは見つからず,延々と山を登っていました。
山を歩いているうちは,全然寒さも感じず,寒いからつらいということもなかったです。
下北半島の稜線には,ヒバが多く残っており,雪の上だとササ類の茂みも気にならないので,
気持ち良く山をのぼることができました。

三日目はなんと大雨でした。調査者みんなが,雪を期待していたのですが,
無情にも雨。調査は中止でした。四日目は3匹のサルを見ました。
ただ,あまり人慣れしていない群れだったので,近づいたらそそくさと逃げられました。
五日目に追った群れはフルカウントに成功しました。午前中に仕事を終えたので,
仏ヶ浦観光しました。
六日目は,カウントできていない群れをひたすら追ったのですが,カウントには至りませんでした。
そして,30日発で帰途につきました。
青森から東京,東京から岐阜の深夜バス。1月1日に岐阜に着きました。
クリスマス,大晦日,新年を犠牲にした調査でしたが,
得るものは大きかったと思います。

06年は,サルの調査だけでも,山梨,屋久島,奈良,三重,下北と,充実していました。
今年は論文,です。


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果樹カウント調査 [獣害]

今月13日から17日の4泊5日で奈良県宇陀市に
果樹カウント調査に行ってきました。
自分の研究としての調査ではなく,
バイト代をもらってのお手伝いです。

三重県名張市と奈良県宇陀市は
サルの被害調査が行われた地区の先駆けであり,
住民の方々の被害対策意識が高い地区だと思います。

調査内容は,集落内の果樹の種類と数を調べることです。
先月も4泊5日でいってきたのですが,今回は
もう時期も遅いので果樹の葉っぱもかなり落ちてしまい,
バラ科サクラ属のサクラ,ウメ,スモモの区別が難しかったです。

果樹を数える目的は,サルの被害対策として住民による果樹の伐採などが
行われている地区なので,
サルの行動圏と住民による果樹伐採がどの程度関連しているのかを
調べること…だったと思います。
果樹が伐採される→サルにとって集落の魅力が減少する→サルの集落依存が減る(サルの行動圏が森林よりになる)
という具合になる…のでしょうか。
何年も継続した結果が出ないとなんともいえないかもしれません。

私はサルの被害で卒論をやっておきながら,
サルの被害を現場で減らすには,どうすればよいか,
というビジョンが明確になっていません。
それは地域によってそれぞれ手法が異なると思います。
よって,現に調査研究が進んでいる地域を見ることは必要なことだと思い,
今回の調査を手伝わせていただくことにしました。

調査の感想は,
農村計画分野からできることはあるかもしれない,という実感を得たと同時に,
それは成果として論文にはならないかもしれない,という不安も抱きました。

文責:修士1年  中村大輔


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調査に行ってきました [獣害]

修士1年の中村大輔です。
調査のため,11月8日~11月10日の2泊3日で山梨県富士吉田市に行って参りました。
調査目的は…
・富士吉田市で行ったアンケートの正確な配布数を知る
・共同研究者の方と学会発表についての話し合い
・卒業論文の調査対象地である西桂町の現状を知る
以上3点です。

調査目的とは違うことですが,
共同研究者の方のサル被害対策勉強会に同行させていただきました。
市町村担当の方や県職員の方や環境省の方がみえていました。
いろいろ勉強をさせていただきました。

私は,卒業論文の調査で西桂町のサル被害防除についてアンケートを
とらせていただきました。修士論文では,より多くの回答を得て,
より詳しい解析を加えるつもりです。

修士論文の調査対象地とさせていただく山梨県富士吉田市は,
富士北麓に位置し,晴れの日は富士山がよく見えます。

岐阜大学から車で行くには,東名高速富士ICから北上,
もしくは中央道で直接現地の二通りが考えられますが,
前者の方が安価なため,よく利用しています。
ちなみに,公共交通機関はあまり頼りにならず,
直通バスもあるのですが,関西地方行きは多いが中部地方行きは少ないです。

問題のサル被害ですが,
西桂町,富士吉田市ともにサル被害激甚地であり,
岐阜でもよく見られる農作物被害,にとどまらず
糞尿や物損といった生活圏における被害,
住民を威嚇したり,噛み付くといった精神的および人身被害まで被害形態が発展している
地域です。

遊休農地化もかなりの度合いで進んでおり,荒れ地が目立ちます。
以下は,サル被害対策勉強会での話題を紹介します。
獣害の指標に農作物被害額を用いられることに対してですが,
それでは,富士吉田市のようなサル被害激甚地区で遊休農地化が進んでしまったところでは,
被害が適切に評価されない,ということになります。
生活圏被害を定量化する指標がない,という問題も含まれているようです。

今回の調査では,刈り払い後の田んぼの落ち穂拾いをするサルの群れに
出会いました。

サル対策の基本は「人間がコワイことを知らしめること」だと言われますが,
農村の方々には(特に女性),サルに対する恐怖感のようなものもあり,
なかなかうまいこといかないのが現状です。
今回見たサルの群れに対しても,住民の方が寄り添って話をするだけで,
追い払い行動などは一切見られませんでした。

調査は順調にすすみ,特に最後の日に参加させていただいた
行政の方々参加の勉強会は,各市町村の現状の話が聞けて
とても参考になりました。


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