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差し茅体験 in 彦根市男鬼集落 [古民家]

院生の榎本です。
先月末に,茅葺き民家の屋根修復作業に参加してきましたので,
イベントの内容などについて報告したいと思います。

今回イベントが行われたのは,滋賀県彦根市にある男鬼(おおり)集落です。
非常に雪深い地域で,集落までの道のりも細く険しい道が続きます。
ここは,8棟の民家と寺社が各1棟ずつある廃村で,現在定住者はいません。
しかし,民家の所有者は彦根市に在住しており,自治会が残っています。
5年前までは,子どもの自然体験学習の場として利用されることもありましたが,
行政の財政難が原因で,活動が行われなくなったそうです。
そこで,2004年から滋賀県立大学の学生,先生と地域の方が協力し,
男鬼集落の再生や活用方法を検討する活動が行われました。
今回の屋根修復作業は,これまでの活動の一つの集大成ではないかと思います。


↑男鬼集落の様子。民家の軒先には,カワト(洗い場)も残っています。

イベントは7月28,29日の2日間に渡って行われましたが,
一日目は,まず最初に足場を組む作業が行われました。
以前紹介した丹波市の修復作業では丈夫な足場を作っていましたが,
今回は比較的簡易な足場が組まれました。


↑足場を組んでいるところ。このあと渡し板をかけました。

今回の作業では,痛んで古くなった茅を取り除きつつ,
取り除いた場所や茅がなくなってしまった部分に新しい茅を差し込むという方法で
茅葺き屋根の修復が行われました。


↑既に土に戻ってしまった茅から,植物が生えてきている箇所もありました。

京都の職人さんにやり方を教わり,実際に参加者が作業を始めました。
最初は慣れない手付きでしたが,次第に作業のコツを掴んでいきます。
下では,差し込むための茅を適当な長さに切り揃える作業が行われます。


↑職人さんが茅を差し込む方法を説明しているところ。


↑保管してあった茅を,使いやすい長さに切り揃えます。

差し込まれた茅は,職人さんのコテによって叩き揃えられます。
これは,素人には真似の出来ない高度な技術が要求されます。


↑差し込んだ茅の先をコテで揃えているところ。

ちなみに,今後も定期的に行う必要がある屋根の改修作業に備えて,
集落近くに茅場を作る計画も立てているとのことでした。
茅場の維持のため,屋根の修復作業と平行して草刈りも行われました。


↑以前は,椎茸のほだ木を採取するために使われていた場所とのことです。

四面あるうちの三面は,職人さんや作業経験のある学生が中心になって行い,
2日間で何とか屋根の修復作業を終えることが出来ました。


↑反対側の屋根。丸太を横に渡し,紐を通して屋根裏で固定し,足場を作っていきます。

イベントには2日間で延べ60人程度の参加者がありましたが,
本当に楽しく作業を行うことができ,皆さん満足されたことと思います。
このような貴重な体験の場を提供して下さった滋賀県立大学の皆さん,
地域の方々,職人さん,本当にありがとうございました。


↑写真手前にいる職人さんはこの道2年。若い職人さんがいるのは心強いです。

書き込み:榎本


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第3回目上石津調査 [古民家]

こんにちわ,4年生の中澤まみです。
前回の調査から3週間,6月18日に第三回目の現地調査に行ってきました。
今回の調査の目的は,緑の村公園の職員の村田さんに公園についてのお話を
聞くことと,前回の調査の時に感じた「看板・案内が少なくて全体が分かりづらい」
という課題点を再調査するため,公園全体の看板や案内を確認することです。

・・・と,報告の前に雨の日の古民家の様子をご覧いただきましょう。

やっぱりなんといえない趣がありますね☆
早速脱線してしまいましたが,ここからは本番の調査報告したいと思います。

まずは村田さんに緑の村公園について伺いました。
特に来場者人数と、施設利用者の住んでいる地域、公園建設の前の土地利用について
質問をしましたが、こちらの質問に丁寧に答えてくださり、とても参考になりました。
他の観光施設も同じかもしれませんが、やはりバブル崩壊を機に来場者は
減少したそうです。また、利用者は大垣市が半分近くを占めますが、愛知県と三重県の
来場者が約40%を占め、県境に近い上石津の特徴が出ていると感じました。

お話を伺った後は公園内の看板を探すため、園内を一周しました。
前回の時は施設を見るのに必死で看板にあまり目がいかなかったのですが、
改めて見てみると予想以上に看板が多くありました。
ただ、建てた時によってデザインが違うため、様々なパターンの看板がありました。


一通りの施設の看板はありましたが、なにせ公園が広いため初めての人は迷うかもしれません。

調査をしていく度に,新たに発見するところ・もっと知りたいと思うことが増えてきて,
卒論に向けて意欲的に取り組んでいきたいと思っています。
今後も広く勉強をして,満足いく卒論を完成させたいと思います。

将来的に古民家を中心にして、公園全体に人々が訪れてもらえるように
何か提案ができたらいいなと思っています。

以上,簡単にでしたが上石津の調査報告でした。


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COMBi本陣 訪問 [古民家]

院生の榎本です。

昨日6月11日,上石津での「古民家再生プロジェクト(仮称)」についての相談のため,
名古屋にあるCOMBi本陣の「起業支援ネット」へ行きました。


↑廃校となった本陣小学校を活用しているCOMBi本陣。

当初は,「上石津で一緒に面白いことをやりませんか?」というお話をするために
資料を用意して行ったのですが,気が付けば活動の相談に(笑)
まぁ,それがこのNPOの本職ですから,それで良いんですけども。

上石津での取り組みは,どうしても“行政から話が出た事業”という性格のため
地域の方の自発性を促すのは一筋縄には行かないだろうという事は分かっており,
その現状でどうやって“地域住民が集う施設”として整備していくのかというのが
一番の課題であり,逆に言えば面白さでもあるのです。
とにかく,外から来た人たちが“上石津のこんな所が素敵なんだよ”とか,
“こういう所に惹かれて来たんだよ”ということを行動で示すことができれば,
地域の方の考え方も変わり,活動に巻き込むこともできるのではないか,と
ありがたいアドバイスをいただきました。

ここ,COMBi本陣も,行政によって作られた“地域住民に望まれない施設”であり,
これから地域住民とどう共存していくかが最大の課題であるとの話でした。


↑校舎はトイレなど一部を除き,そのままの状態で活用されている。

上石津でのこれまでの活動を整理し,今後の活動の方向性を考えることができた
非常に有意義な時間を過ごせました。代表の関戸さん,ありがとうございます。

起業支援ネットホームページ
http://www.npo-kigyo.net/
関戸美恵子氏ブログ
https://blog.canpan.info/sekido/

書き込み:榎本


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民家屋根葺き替え作業 見学in青垣 [古民家]

今日は、兵庫県丹波市青垣町にある民家に行ってきました。
今後、上石津で行う古民家改修作業に向けての情報を集めるため、
屋根の葺き替え作業の様子を見学し、関係者にお話を伺いました。


↑民家の様子。民家と石積みがセットで文化財登録されています

5月の半ばから始まった葺き替え作業は、6月半ばで終了する予定で、
およそ3000束の茅が使われることになるそうです。
茅葺きの職人さんと地元の方が一緒になって作業を行っておられます。


↑目的の民家。非常に大きくて立派な家です。場所も集落で一番の高台

昔はどの地域も山の中や川原などに共同の茅場を持っており、
葺き替えの際の茅はそういった場所で調達していましたが、
この地域でも茅場は現在どこにもなく、買い付けたそうです。
妻面はまだ葺き替え作業が終わっていないため、
まだ痛んだ状態の茅を見ることができましたが、
平面は既に全ての葺き替え作業が終わった状態でした。


↑妻面の状態。家の中から茅の隙間を通して空が見えるほどの痛み

茅場の管理方法や茅自体の保管についてはそれほど厳密ではないようで、
放置しておいても葺き替えに使えるようになるとのお話でした。
但し、刈り取り後の茅は雨と雪を避けて保管しなくてはいけません。


↑水気を十分に抜くために、壁に立てかけられた茅

文化財登録を受けたとは言え、県からの補助は修繕費の1/3で、
残りの資金を工面する必要があるとのことです。
地元の方々が協力して、改修の作業や募金活動などを精力的に行っておられます。


↑活動協力団体の説明看板

民家の周囲は、地元の団体「江古花園」の方々が管理する蓮の池が広がっており、
子どもたちが生き物の観察やザリガニ釣りなどを楽しんでいました。


↑葺き替え作業の足場から見下ろした民家周辺の風景

「江古花園」の方が見学に来た方のためにカフェを開いており、
大自然の中で美味しいケーキセットをいただきました。


↑今後は民家でカフェを営む予定、とお話してくださいました

地元の方々が、この民家に愛着を感じて何とか修理したいという思いが
この一日だけでよく伝わってきました。
是非、改修作業を無事終えて、色々な形で活用が図られるよう、
少しではありますが、茅確保のための募金をしてきました。
次は、改修が終わってイベントが行われる頃に伺いたいと思います。

書き込み:榎本


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上石津調査第二回 [古民家]

初めまして4年の中澤まみです。5月28日,上石津の古民家について調査してきました。
今回の調査は午前中に緑の村公園の視察(というより散歩でしたが),
そしてランチタイム~午後は時地区で町作り活動をされている「夢工房」の代表・阿藤昭博さんに
活動のお話を聞き,実際に時地区を案内してもらいました。

まずは緑の村公園の視察について


これは緑の村公園の入り口付近から撮影した古民家の様子です。
周りの緑の中にひっそりと佇む古民家は,とても雰囲気のあるものです。
この日は改修作業のひとつであるシロアリ駆除の業者さんが来ていて,
着々と改修の準備が進められていました。



これはウッディードームと呼ばれている野外運動施設です。
外観さることながらドーム内の地面もきれいに整備されていて,大勢の人が多目的に
使用できそうな感じでした。

・・・実はこの緑の村公園はとても広く,ぐるっと回るだけで2時間近くかかりました。
写真にはないですが,アスレチック施設やサイクリングロード,宿泊施設もあります。

そして,私が緑の村公園で一番感動した施設はこれです!!

何だか分かりますか?
これは陶芸用の登り窯なんです。焼き部屋が5つあり,なんと湯飲みなら一度に
2~3万個もやけるそうです。現在は大垣市の陶芸教室の人や施設利用者などの作品
(主に大きな作品)を集めて,年に一回使用しているとのことでした。
5~6日ほど焼き続け,最後には最上部の煙突から炎が出るそうです。
毎年9~10月に火入れするそうなので,是非見に行きたいと思いました。

こうして約2時間ほどしっかり歩き回った私と榎本先輩。
二人とも12時のサイレンが鳴る頃にはお腹のサイレンもぐうぐう・・・(笑)
ということで、午後からお話を聞く阿藤さんと緑の村公園に勤めていらっしゃる
村田さんと合流し,近くの観光施設・日本昭和音楽村の中にあるイタリア料理店
「アルペジオ」へ出かけました。
なんでもシェフは上石津出身の方で,イタリアで修行経験があるということで味も本格的☆
雰囲気も料理もすばらしかったです。
・・・と話が脱線してしまいましたが,そこでは主に町づくり団体「夢工房」の活動について
お話を伺いました。夢工房の活動は4年ほど前から始められ,住民が協力して花壇を設置したり,
温泉の開発,大垣市の親子を呼んで昔の文化に触れてもらう企画などを行なっているそうです。
特に昔の文化を体験する企画は大変好評で,今年も開催してほしいと参加者からの要望が
多いそうです。
阿藤さんはとても元気な方で,いきいきと話している姿がとても印象的でした。
特別なことはしない,ありのままみんなで活動して一緒にご飯を食べて楽しんでもらいたい。
何度もそうおっしゃっていたのが心に響きました。

様々なお話のあと,時地区を案内してもらえることになりました。
写真はありませんが,時地区は山と川と田んぼののどかな風景が広がっていました。
映画のロケシーンになってもおかしくないほど美しかったです。

今回の調査では,やっと上石津の全体像がつかめたような気がします。
次回はいよいよ古民家の改修についての調査が本格的に始まると思うので,さらに
勉強をして臨みたいと思います!

長々と失礼しました,また調査に行った際には報告します。
以上,中澤でした。 ありがとうございました☆


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かみいしづ緑の村公園 [古民家]

榎本です。


↑資料館の外観。上石津では萱葺き民家はほとんど残っていないとのこと。

今日は,大垣市上石津町(旧上石津町)の緑の村公園に行きました。
来年度から行う,公園内資料館の改修作業の打ち合わせのためです。
改修作業を学生主体の組織が中心となって行うことにより,
農村地域の伝統的な文化や伝統,技術が継承できればと考えています。
改修作業自体は,来年度の夏頃からの開始となる予定ですが,
それまでの期間を利用して,上石津地域の歴史や文化の調査を行い,
どのような改修が地域らしさを表現できるか考えていきたいと思います。



↑資料館内部。水回りは保存状態がよく,すぐにでも使えるとのこと。

上石津の職人さんの技術継承や,地元特産物の発掘,開発など
ここでやれる事はたくさんあるのではないかと考えています。
出来れば複数年度に渡って卒論対象地として学生に調査してもらい,
今後の西濃地域の活性化に貢献できればと思います。
また,具体的に活動スケジュールが決まりましたら,ここでお知らせします。

書き込み:榎本


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とよさと快蔵 漆喰塗り [古民家]

遅くなりましたが,今月半ばに参加したイベントの活動報告です。
滋賀県立大学での現代GPプロジェクトの一つである
「とよさと快蔵プロジェクト」にまたまた参加してきました!

前回は,たたきの土間を作る公開作業だったのですが,
今回は壁に漆喰を塗る作業を手伝って来ました。
県大の学生は,これまでの活動で手慣れたものでしたが,
今回初めて漆喰を塗る自分は一つ一つが全て試行錯誤。
二日目の夕方くらいになってからようやく
漆喰塗りの何たるかが分かったかな,という具合でした(笑)


作業中


完成間近

今後も公開作業があればどんどん参加したいと思います!
農村らしい生活には,まず住居から,ということで。

書き込み:榎本


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とよさと快蔵プロジェクト [古民家]

少し遅くなりましたが,先日の活動報告です。

先週の日曜は,滋賀県立大学での現代GPの活動である
「とよさと快蔵プロジェクト」のイベントに参加してきました。
現代GPについては,以前本学の公民館大学を紹介しましたが,
滋賀県立大学においても特色ある活動を行っています。
「とよさと快蔵プロジェクト」は,地元にある古民家を改装して,
様々な利活用方法によって再利用するという活動を行っています。

今回のイベントは,古民家における「土間打ち」の体験活動でした。
古民家の入口である「土間」の施工を行う体験活動なのですが,
非常に手間のかかる作業で朝9時~夕方4時頃までかかりました。
後半は筋肉痛で手の握力がなくなるほどの重労働でしたが,
自分たちで家の一部を作ったという充実感があり,満足できました。
このイベントに刺激されて,上石津でも同じようなことが出来ないか,
と大垣市役所職員の方と企画を検討している最中です。

土間に使う土は地元にあるものを利用したのですが,
当初はピンク色であまり土間に馴染まないとの懸念がありました。
しかし,最終的には古民家に相応しい落ち着きのあるものに仕上がり,
参加者全員が満足げに出来上がった土間を眺めていました。

来年の1月には,壁を塗る作業もあるようですので,
興味のある方は榎本までお問い合わせください。
土間も壁も,自然に還るよう天然の素材のみを利用しています。
その分,多少維持管理に手間がかかることもあるようですが,
古民家ではそういった手間がかかることが逆に温かく感じられます。

追記
「とよさと快蔵プロジェクト」の漢字が「改蔵」になっておりました。失礼しました。

書き込み:榎本


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